上級グリーフケア士資格

 上級グリーフケア士資格とは?

「上級グリーフケア士資格」は、深い悲嘆を抱える人々に対して、より高度で包括的な支援を行うための知識と実践力を備えた支援者を認定する資格です。現代社会では、死別や喪失に加えて、孤立や人間関係の断絶といった複雑な問題が深刻化しています。上級資格では、個人への支援だけでなく、社会的背景や構造的課題にも目を向け、幅広い視野で悲嘆をとらえる力が求められます。試験では、理論的な理解に加え、研修による少人数制の実践学習を通じて、現場での支援力をさらに高めていきます。すでにグリーフケア士として活動されている方が、より深い専門性を身につけ、社会的な実践を広げるためのステップアップとして位置付けられる資格です。

 受験資格と受験要件等

受験資格
「グリーフケア士」資格を取得していること

グリーフケア士未取得者が受験申込手続き(試験サイトでの入力手続き)をしても完了することができません。また下記の要件について同意することを要件としております。

受験要件
「グリーフケア士」は、ケアに必要な知識と技能を備え、悲嘆者の基本的人権を尊重し、適切なケアを提供する専門資格です。有資格者ならびに資格取得を目指す者は、倫理綱領の理念を理解し、遵守する義務を負うとともに、グリーフケアのより良い実践に向けて不断の努力を重ねなければならない。

上級グリーフケア士の受験者は、受験にあたり、倫理綱領の遵守義務について誓約したものとみなします。

この資格が役に立つ職業等
・葬祭業やブライダル業など、人生の節目を支える仕事に携わっている方
・医療・介護・福祉・教育などの現場で、人の喪失や悲嘆に向き合う機会のある方
(例:医師、看護師、介護職、ケアマネジャー、保健師、スクールカウンセラーなど)
・遺族会や患者会などで、当事者に寄り添う活動を行っている方
・グリーフケアに関心を持ち、体系的に学びたいと考えている方

 試験における考査方法

■CBT試験
・形 式:多肢選択式  ・試験時間:60分  ・解答数:50 問(テキスト各章から出題)

■小論文
・テーマ:事前提示   ・文字数:2000字目安

■面接試験
・形式:オンラインでの実施   ・時 間:30分程度

 募集定員

一次試験の定員はありませんが、二次試験は定員48名となっております。

資格名 対象者 一次試験(定員なし) 二次試験(定員あり)
CBT試験 小論文試験 面接試験 研 修
上級グリーフケア士 全互協会員互助会勤務者
48名
一般

 出題の科目、出題範囲

上級グリーフケア士資格試験は、①CBT試験②論述試験(小論文)の評価により、上位者が面接試験を受けることができ、その通過者は一次合格となります。
一次合格者は研修(二次試験)を受けることができます。二次試験に合格した者は、上級グリーフケア士に認定・登録されます。

CBT試験の出題範囲
グリーフケアの基礎を学んだ上で、さらに深く理解し、実践の幅を広げるために必要な知識を理解していること。上級グリーフケア士試験用テキスト「グリーフケアの理論と実際Ⅱ」からの出題範囲は下記の通りです。
テキストの範囲(グリーフケア士テキスト グリーフケアの理論と実際Ⅱ)

第1単元 愛着と絆
・深い愛着 ・神話にみられる悲嘆と愛着 ・「継続する絆モデル」の特長
・「継続する絆モデル」の臨床研究への適用
・死者の臨在感-夢とビジョン(1)・ 死者の臨在感-夢とビジョン(2)

第2単元 グリーフの病理とその診断基準 
・遷延性悲嘆症の診断基準 ・悲嘆の病理的な内容 ・悲嘆と他の疾患との区別
・悲嘆の心理計量学的研究と精神薬理学的介入 ・グリーフの過度の医療化とソーシャルサポート

第3単元 ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の原理と共同体の再構築(1)
・ソーシャル・キャピタルとは ・ソーシャル・キャピタルの分析
・グローバル化とソーシャル・キャピタルの減少 ・脱埋め込みとコミュニティ
・ソーシャル・キャピタルの原理

第4単元 ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の原理と共同体の再構築(2)
・共同体の原理と再構築:アーミッシュの事例から ・文化的埋め込みと囚人のジレンマ ・再帰的近代化論と再埋め込み
・コンパッション都市の構築 ・コンパッション都市とend of life

第5単元 ケア者になにができるのか(1)
・アジールの構築 ・アジールの概念とその現在 ・転移と逆転移 ・多重関係の禁止 ・ケアの倫理と子どもたち

第6単元 ケア者になにができるのか(2)
・隠された悲嘆 ・侵襲性とフォーカス・オブ・ケア ・傾聴とナラティブ・アプローチ ・ネバー・ザ・セイム 遺族の声から
・傷ついた癒し手とトラウマ後の成長 ・グリーフ・ジャーニーという言葉

第7単元(付論) グリーフケア士の課題とガイドライン
・倫理的ジレンマという課題 ・日本における制度と法令 ・ケア者のケアという課題 ・スーパービジョンとピアサポート
・グリーフケア士のガイドライン

テキスト「グリーフケアの理論と実際Ⅱ」
■監 修 島薗 進 氏(東京大学名誉教授)
■執筆者 粟津 賢太 氏(上智大学グリーフケア研究所客員研究員)
※ 表示の所属および肩書は当該テキスト刊行当時のものです。

グリーフケアの理論と実際Ⅱ

 合格基準

上級グリーフケア士の一次試験・二次試験における合格基準は、非公表となっております。

上級グリーフケア士資格試験概要まとめ

受験資格 「グリーフケア士」資格を取得していること
受験要件 倫理綱領の遵守に同意できること
募集定員 一次試験:定員なし 二次試験:定員48名
受験料 一次試験:35,200 円(税込) ※テキスト・CBT試験・小論文試験・面接試験料を含む
二次試験:63,800円(税込) ※研修用テキスト・研修試験料を含む
※一次・二次ともにテキスト送料は別途かかります
試験会場 全国の約340試験会場(2025年8月末現在)
試験方法 ・CBT試験(多肢選択式)60分 50問(グリーフケアの理論と実際Ⅱのテキスト各章から出題)
・小論文(テーマは事前提示)2000文字目安
・面接試験(オンラインでの実施)30分程度
合格基準 公表しておりません

「上級グリーフケア士」の試験を受験するには「グリーフケア士」の資格が必要です。
未取得の方は先に「グリーフケア士」資格を取得してください!


<制度運営>

一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団
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