2016(平成28)年度(第18回)4.NPO法人 しぶたね

〇テーマ:

兄弟姉妹を病気で亡くした子どものための小冊子配布事業

〇概要:

兄弟姉妹を病気で亡くした子どもたちは、周囲の大人の悲しみに巻き込まれるため
死をどうとらえていけばよいのかわからず困惑したり、自分のせいで兄弟姉妹が亡くなったという自責感を抱えたり、保護者を気遣って亡くなった兄弟姉妹の話題を避けたり、周囲の大人の目が向かない孤立感を感じながら頑張っている。
しかし、そのような子どもたちを支える場はほとんどなく、病院や関連機関の支援者も、どうすればよいのか悩んでいる現状があることから、大人とともに一緒に遊んだり書き込んだりすることで自分の気持ちを見つめ、大切にするきっかけとなる冊子を作成した。

〇実施内容

「きょうだい」が自分のためにつくられた冊子に出会うことで孤立感が軽減され、亡くなった兄弟姉妹のことや自身の気持ちを話してもよいことを感じられるように、自責感や不安などの感情を、冊子を読んだり大人と一緒に書き込むことで整理し、自分らしい人生を紡いでいくことを応援したいと思い、防衛医科大学校医学教育部看護学科の高橋聡美教授に監修を依頼し、小冊子「きょうだいさんのための本②おにいちゃん、おねえちゃん、おとうと、いもうとを亡くしたあなたへ」を25,000冊作成した(A5版 フルカラー 16ページ)。
冊子は、病院(小児科、新生児科、院内学級、心理部門など)、保健所、難病児と家族をサポートする団体、NPO法人、重症児デイサービス、訪問看護ステーション、グリーフサポート関連団体、大学(教育、看護)、冠婚葬祭互助会など、北海道から沖縄まで約600カ所に広く届け、今も引き続きの取り寄せ希望があり、さらに増刷して配布する予定である。

〇反響

ホームページでPDF版を公開した他、SNSや新聞などでも冊子を紹介していただき、兄弟姉妹を亡くした子どもの周囲の大人からの問い合わせも多くあった。冊子を手にした高校生が「いい本だねえ。僕たちきょうだいさんには当たり前の話なんだよね。もっと小さい時に読みたかったな。」と話してくれたり、小学生のきょうだいが泣きながら読み、「宝物にする」と、少しずつ書き込んでくれているそうです。

〇結果と考察
  • 冊子を届けた関連機関から「早速使っている」「保護者が自由に手に取れる場所に置いておくと、いつの間にか減っている」「きょうだいにしてあげられることが増えて嬉しい」との声をいただいており、きょうだいに何かしてあげたいと思う大人の気持ちを伝えるのに役立っていると感じている。
  • 「きょうだい」のグリーフに特化したサポートは国内にはほとんどなく、きょうだい向けの小冊子は前例もなかったため、今回の小冊子が病児のきょうだいのグリーフをサポートする1つのツールとして全国に広がることで、社会がきょうだいに目を向けるきっかけになることも目指している。
  • 送料と増刷費用を得るため、京都のチャリティ専門ブランドJAMMINとTシャツなどのコラボアイテムを期間限定で販売し、大きな反響があった(1枚あたり700円チャリティで、1週間で30万円近い額が集まった。過去コラボした他の団体と比べても遜色ない金額)。このチャリティでさらに5,000冊増刷し、全国のNICU(新生児集中治療室)をもつ病院と病弱教育部門をもつ特別支援学校に配布予定。今後も増冊を続けながら、必要な場所に届けていきたい。